長年、小中高生の指導に携わり、毎日、生徒さんたちと向き合いながら、彼らの夢や努力を応援しています。
でも、時には厳しい現実を伝えるのも、私たちの役割だと思っています。
今日は、そんな中から一つのテーマをお話しします。
それは、「勉強を本格的に始めていない生徒さんが、自分の学力と志望校の合格ラインとのギャップを、まだ十分に理解できていない」ということ。
そして、それに関連して、保護者の方々が我が子の学力をどう評価しているか、という点です。
この話は、決して誰かを責めるためのものではありません。
むしろ、早めに気づいて一緒に前進するためのヒントとしてお伝えしたいんです。
私の経験から言うと、多くの生徒さんが勉強をスタートする前段階で、このギャップに気づいていないケースが少なくありません。
優しく言えば、それは自然なこと。
まだ本腰を入れて勉強していないのですから、自分の実力がどれくらいで、志望校がどれほど高い壁かをイメージしにくいんですよね。
でも、ここを放置すると、後々で大きなつまずきになってしまうんです。
まず、生徒さん自身の視点から考えてみましょう。
たとえば、中学3年生のAくん。部活に夢中で、勉強は学校の宿題くらいしかやっていない。
でも、心の中では「有名高校に行きたい」と思っている。
そんなAくんは、模試を受けていないし、過去問も見たことがない。
だから、自分の今の学力が合格ラインにどれだけ届いていないかを、具体的に把握できていないんです。
イメージで言うと、遠くの山頂を目指しているのに、麓からどれだけ登らなきゃいけないかを知らない状態。
「まだスタートラインに立っていないから、道のりの長さがぼんやりしている」といった感じです。
ここでスパッと指摘しますが、このギャップを甘く見てはいけません。
志望校の合格は、ただ「がんばる」だけじゃ足りないんです。
実際、私の塾では、業者テストをするんですが、そこで初めて「え、こんなに点数が低いんだ…」と驚く生徒さんが多いんですよ。
たとえば、偏差値で言うと、志望校が60必要なのに、今の自分が40前後だとわかると、ようやく現実味が湧く。
でも、勉強を始めていないと、この数字すら知らないまま。
「なんとかなるかな」と思って時間を無駄にしちゃうんです。
私の経験上、こうした生徒さんは、夏休み頃になって慌てて勉強を始めるけど、すでにタイムロスが大きくなっているケースがほとんどです。
次に、保護者の方の役割について触れましょう。
保護者の方々は、いつもお子さんのことを一番に考えてくれていますよね。学校の成績表を見て「うちの子はまあまあできる方だ」と思ったり、友達の話から「このくらいで大丈夫かな」と判断したり。
でも、ここに少しズレが生じやすいんです。
優しく言うなら、「愛情ゆえに、ちょっと甘めに見てしまう」のは仕方ないこと。
でも、現実的に言うと、学校の成績はクラス内での評価で、志望校の入試は県レベルの競争です。
たとえば、小学校の頃は優秀だったお子さんが、中学で部活やスマホに時間を取られて学力が停滞しているのに、保護者の方が「昔のイメージ」で評価し続けているパターン。
塾で面談すると、「え、そんなに低いんですか?」と驚かれることがあります。
保護者の方がお子さんの学力を正しく評価していないと、志望校との乖離がどんどん広がってしまうんです。
なぜなら、家庭でのサポートが鍵だから。
勉強時間を確保したり、塾の選択をしたりするのは、保護者の方の判断次第。
でも、ギャップを認識していないと、「まだ時間があるから」と先延ばしにしがち。
結果として、お子さんが本格的に勉強を始めるタイミングが遅れ、合格のチャンスを逃すことになるんです。
実際、私が見てきた中で、早期に学力チェックをして計画を立てた家庭は、成功率が高いんですよ。
では、どうしたらこのギャップを埋められるでしょうか?
まずは、シンプルに「現状を知ること」から始めましょう。
生徒さんには、模擬試験や過去問にチャレンジすることをおすすめします。
勉強を本格的に始めていなくても、1回やってみるだけで、「あ、こんなに難しいんだ」と実感できます。
たとえば、志望校の過去問を1科目だけ解いてみて、点数を計算する。そこから、「合格まであと何点必要か」を計算するんです。
これで、抽象的な夢が具体的な目標に変わります。
保護者の方には、お子さんの学力を客観的に評価するツールを使うことを提案します。
学校の定期テストだけでなく、外部模試や塾を活用してください。
塾では、そんなテストを無料で提供しているところが多いですよ。
そして、結果を見て「今がチャンス!」と前向きに捉える。
「お子さんの可能性を最大限に引き出すための第一歩」ですね。
もし乖離が大きい場合でも、焦らず計画を立てましょう。
たとえば、毎日1時間の勉強からスタートして、徐々に増やす。
私の経験では、こうした小さな積み重ねが、半年後には大きな差を生むんです。
もう少し具体的にアドバイスを。
たとえば、高校受験を目指す中学生の場合、勉強を始めていない段階で志望校を決めるのは危険です。
まずは、自分の得意科目と苦手科目をリストアップしてみて。
数学が苦手なのに理系高校を目指すなら、早めの対策が必要です。
保護者の方は、お子さんと一緒に志望校のオープンスクールに行くのもいいですよ。
そこで実際の生徒さんたちを見て、「ここに入るにはこれくらいの努力が必要か」とイメージが湧きます。
また、最近のトレンドとして、オンライン学習ツールが増えています。
勉強を本格的に始めていない生徒さんでも、アプリでクイズ形式から入るのはハードルが低いです。
でも、ちょっと警告しますが、これを「遊び半分」で終わらせないこと。
本気で取り組まないと、ギャップは埋まりません。
保護者の方は、そんなツールの活用をサポートしてあげてください。
最後に、私から一言。
生徒さんも保護者の方も、誰も悪くないんです。
ただ、早めに現実を直視することで、夢に近づけます。
私の塾で合格した生徒さんたちは、みんなこのギャップを乗り越えた人たち。
最初はショックだったけど、そこからがんばって花開いたんです。
あなたもきっとできますよ。
一緒にがんばりましょう!
