寝る前のスマホにご用心

お子さんが夜、寝る前にスマートフォンを使う姿をよく目にしませんか?ゲームをしたり、動画を見たり、友達とメッセージをやり取りしたりすることは、子どもにとって楽しい時間かもしれません。しかし、最近の研究から、寝る前のスマホ使用が子どもの睡眠の質を下げ、結果として学習効果に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。

まず、寝る前のスマホ使用が睡眠に与える影響について見てみましょう。スマホやタブレットの画面から発せられるブルーライトは、脳が「昼間だ」と誤解する原因となります。具体的には、ブルーライトがメラトニンという睡眠ホルモンの分泌を抑えてしまうのです。2020年に発表された米国睡眠医学会の研究では、寝る前に2時間以上スクリーンにさらされた子どもは、そうでない子どもに比べて入眠までの時間が長くなり、睡眠時間全体が短くなることが示されました。睡眠不足は、記憶力や集中力の低下を招き、翌日の学校での学びに直接影響します。

次に、睡眠が学習効果にどう関わるかについてです。ハーバード大学の研究(2018年)によると、睡眠は新しい情報を脳に定着させる重要なプロセスであり、特に成長期の子どもにとっては欠かせません。睡眠中に脳は日中の出来事や学んだことを整理し、長期記憶として保存します。しかし、スマホ使用による睡眠の質の低下は、この「記憶の定着」を妨げます。例えば、英国で行われた大規模な調査(2019年)では、夜間に電子機器を使用する習慣のある生徒は、そうでない生徒に比べてテストの成績が平均で5~10%低いことがわかりました。これは、睡眠不足が原因で脳が十分に休息できず、新しい知識を吸収する力が弱まるためです。

さらに、スマホのコンテンツ自体も問題を引き起こします。ゲームやSNSは子どもの脳を過剰に刺激し、興奮状態が長く続くため、リラックスして眠りにつくのが難しくなります。日本の文部科学省が2022年に実施した調査でも、寝る前にスマホを使った小中学生の約6割が「寝つきが悪い」と回答し、その結果として翌日の授業中に眠気を感じることが多いと報告されています。こうした状態では、授業に集中できず、学習内容の理解が浅くなるのは当然です。

保護者の皆様には、こうした点を踏まえ、寝る前のスマホ使用を控えるルールをお子さんと一緒に考えることをおすすめします。例えば、「寝る1時間前からはスマホをオフにする」「寝室にはスマホを持ち込まない」といった具体的な対策が効果的です。最初は子どもが抵抗するかもしれませんが、睡眠の質が改善されれば、日中の元気さや学校での集中力が高まり、学力にも良い影響が現れるでしょう。

子どもの未来のために、今できる小さな一歩を踏み出してみませんか?スマホとの上手な付き合い方を家族で話し合い、健康で充実した毎日をサポートしていただければ幸いです。

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